「なんだか音がカスカスする…」「理想の音色にならない…」。そう悩んでいませんか?実は、クラリネットの音色は、楽器本体の値段や経験年数だけでは決まりません。
音色を劇的に変えるたった一つのコツ。それは、リード・マウスピース・リガチャーの正しいセッティングです。
今日は、誰でも簡単にできる「最高のセッティング術」を、初心者の方にも分かりやすく解説します。

リードとマウスピースとリガチャーの関係
クラリネットの音は、リードが振動することで生まれます。その振動を最大限に活かすためには、リード・マウスピース・リガチャーの3つの関係を正しく理解することが大切です。
• リード: 音の源となる「振動体」です。
• マウスピース: リードを支え、音を増幅させる「スピーカー」のような役割を果たします。
• リガチャー: リードをマウスピースに固定する「締め具」です。
この3つが正しく一体となることで、あなたの理想の音色に近づくことができます。
上手な設置方法
正しいセッティングは、以下の3ステップで行います。
1. リードの準備
リードはとても繊細です。セッティングの前に、リードの先端を水に軽く浸して湿らせておきましょう。これにより、リードがマウスピースに馴染みやすくなり、安定した音が出やすくなります。状態によっては、リードの下部も湿らせます。
2. リードとマウスピースをセットする
マウスピースの先端から、リードの先端がわずかに見える位置に調整します。よく「髪の毛一本分見えるくらい」と言われるところですね。そして左右対称に設置することも大事です。上部と下部を何度も見比べて曲がっていないか確認します。この時、目線をマウスピースの先端をまっすぐ保つ事も重大なポイントです。
3. リガチャーで固定する
リガチャーをマウスピースにかぶせ、ネジを均等に締め付けます。固定する位置はマウスピースにある筋の一番上と下の真ん中に来るようにします。この時、締めすぎても緩すぎてもリードの振動が妨げられるため、ネジがキュッと止まる程度に固定するようにしましょう。
全体にズレがないか、設置の確認方法
セッティングが終わったら、以下の2つのポイントをチェックして、正しい位置にセットできているか確認しましょう。
1. マウスピースとリードの高さはズレていない?
マウスピースに目線を揃え、リードがマウスピースの先端から髪の毛一本分の位置にあるか確認をします。リードが上に飛び出しすぎたり、下に下がりすぎたりしないよう注意しましょう。
2. リードが曲がっていない?
マウスピースの横幅に合わせて指をあて、リードがまっすぐになっているかを確認します。上部と下部と、少しでも曲がっていると、振動が不安定になり、綺麗な音が出にくくなります。
3.リガチャーの位置、ズレていない?
締めるときに注意を払わないと、リガチャーは上に上がってきます。特に2本締めタイプは上を先に締めすぎると本来固定したい場所からズレてしまいます。最後にもう一度、位置を確認しましょう。
4.楽器本体とマウスピースは曲がってない?
マウスピースへのセッティングが上手くできたら、次は楽器本体とのズレがないかを確認します。
マウスピースと楽器本体のズレはない?
楽器の後ろの下から片目で見て、レジスターキー上にリードがまっすぐ見えるかを確認します。
楽器を構えても曲がってない?
軽く咥えて前歯をマウスピースに乗せて、自分の目線を鼻筋からまっすぐベルの方向へと移動します。その時に「ラ」のキーの突起部分が鼻筋から見てまっすぐの位置にあるかを確認します。
イメージと違う音が出ていない?
最終確認として、実際に音を出してみましょう。
• 吹いた時に音が安定しているか:ロングトーンで安定した音が出るか試してみます。
• 無理なく音が出せるか:息を吹き込んだ時に抵抗が強すぎないか確認します。
• 音色がクリアか:雑音やノイズが混じっていないか耳で確かめます。
もし、思うような音が出ない場合は、もう一度上記の工程を1から見直してみてください。この微調整で、驚くほど音色が変わることがあります。
プロが1番慎重かつ繊細に扱う部分です!
私もこのセッティングは、今でも1番気を使う重要なポイントです。そして、このセッティングだけで本当に劇的に音が変わります。
実際、生徒さんのセッティングで音を聞いてから私がセッティングを直すと「え!?なんで!?ウソ!?」と誰もが声をあげて驚きます。
でも、それはあなたが選んだリードです。マウスピースもリードもリガチャーも、何一つ変えていません。そんな奇跡体験を是非あなたにも体験していただきたいです。
あなただけの最高の「音」を見つけよう!
クラリネットの音色を追求することは、とても奥が深く、楽しいことです。正しいセッティングは、その入り口に過ぎません。
「色々試したけど、やっぱりわからない…」と感じたら、一度プロの先生に相談してみることをお勧めします。あなたにぴったりのセッティングや、練習方法を直接教えてもらうことで、さらにクラリネットが楽しくなるはずです。
ぜひ、あなただけの最高の「音」を見つけて、クラリネットライフを楽しんでください。